また本のお話
お久しぶりです、とんぼです。
とんぼにはどうやらさぼり癖があるようです。
また更新をしない日が続いてしまいました。
この間、『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』という本を読んでいました。
これは、刑務所で行われた読書会のことを、そこでボランティアをつとめた女性が語ったノンフィクション小説です。
描かれている囚人たちは、入れ墨が全身に入った中年男でもおじいさんでも、なんだか赤ん坊みたいに見えます。そういう真っさらな人たちが(罪を犯した人たちをこう表現するのはおかしいかもしれないけれど)本を読んで語る真っさらな感想はすごく興味深いのです。
たとえば、読んだ本を批判して、こんなことをいう人がいました。
ニワトリを描写するだけで、二〇ページとか五〇ページとか使ってるんだぜ
笑ってしまいます。これは本を読んでいかに自分が変わったかとか、そういう感想よりずっとおもしろいと思いました。
でもね、この本、語り手の考え方にすごく引っかかりを感じる本でもあったのです。
それは、「わたしたち」(上)と「囚人たち」(下)の対比の構図が文章のあちこちにあったからです。たしかに著者の方が囚人たちより難しい本を読めるかもしれません。指導する立場だから多少上下関係もあるかもしれません。でも、それって著者が上流階級の人間だからなのですか?
この本を読んでいると、著者やそのボランティア仲間より、囚人たちの方が魅力的な人間に思えます。友だちになったり、先生になってもらったりして、一緒にお話したいと思ってしまうくらい。
お金を持っていることや、優れた教育を受けてきたことが、必ずしも人間性に関係するわけではないというのは、本をたくさん読んだならわかりすぎていることではないのでしょうか。
とんぼは善悪がわからなくなってしまいました。ボランティア活動に打ち込む真っ当な人より、人を殺してしまったり強盗を繰り返した罪人の方に感情移入してしまったのですから。
この本を刑務所読書会の課題本にしたら、みんなはどんな反応をするのでしょう、ぜひまた読書会を開いてみてほしいです。
とんぼ