ドイグさん
こんにちは、とんぼです。
この前、美術展に行きました。
ピーター・ドイグという、スコットランド生まれの画家の作品をみてきたのです。
現代アートなのですが、キャンバスと油絵の具を用いて描かれる絵は、なんだか懐かしく感じられますね。
彼の作品たちには、今までとんぼが現代アートに触れたときに共通して感じることが多かった瞬間的な輝きやハッとするような熱さはなく、ひんやりと冷たく静かだという印象を受けました。
伝わるでしょうか。けっして急がずに、逃さないように、人の中にあるものに触れようと静かに手を沈めていくような、不思議な感触がしました。とくに1990年代に描かれた絵には。
それからこの展示では、「みる」という行為と、描かれるものとみる人の距離感に着目した絵の解説も、興味深かった。
ピーター・ドイグの絵を「みる」ためには「入り込む」という行為を必要としている気がしたからです。さっき言っていた、「手を沈めていくような」というのがそれで、彼が描こうとしているものを見るためには、その世界を覆っている液体のような固体のような空気のような何かを通っていかなければならない感じがしました。
「入り込む」という言葉だと、こちらが絵に働きかけているような感じがしますが、そうさせているのは実はドイグの方であり、絵の前にいるだけで自由を奪われているようで不気味な感じがするのが、彼の作品の魅力なのだとも思いました。
まさに、「のまれて」しまったみたいでした。
はあ。論じるときに感情から離れるということは非常に難しいですね。そろそろとんぼも論じられるようになりたいのですが、なかなか感想文から抜け出せそうにありません。
原田マハさんの小説を読んでから、作品自体のことだけではなく、美術展を企画するキュレーターさんたちのこと、作品を守り育ててきたとも言えるコレクターさんたちのことなども、気になるようになりました。
まだまだ視野を広げてたくさんの絵をみてみたいと、とんぼは思っています。
ではまたね、
とんぼ